排水管トラブルの原因は場所によってさまざまです。その修理方法も原因によって異なり、適切な対処を行なわないとトラブルが解消されないだけではなく、状況がより悪くなる可能性もあります。
今回はトイレ、キッチン、浴室、洗面所、洗濯機それぞれの排水管トラブルの原因と適切な修理方法を解説いたします。
排水管トラブルの原因はつまり・水漏れ
トイレやキッチン、洗面所など排水管は場所によってトラブルの原因が異なりますが、つまりか水漏れが起きているケースがほとんどです。
排水管接続部からの漏水や排水管の破損がなく、床から水がにじみ出ているなどの状態が見られなければ、排水管の汚れや異物がつまっているだけの可能性が高いでしょう。
ここでは5箇所の排水管つまりの原因と水漏れの原因を解説いたします。
1. トイレの排水管つまりの原因
トイレの排水管のつまりの主な原因は次の3つです。
*大量のトイレットペーパーを1度に流したため
*おもちゃやスマホなどの異物
*掃除シートなどの水に溶けにくい紙類を流したため
このうち最も多いのが大量のトイレットペーパーを1度に流したために起こるケースです。
2. キッチンの排水管つまりの原因
キッチンの排水管のつまりの原因は次の4つです。
*油汚れ
*洗剤の溶け残り
*食べ物のカス、野菜の皮などの生ゴミ
*スプーンなどの異物
キッチンの排水管には、食材などの食べ物がついた食器類を洗うため、生ゴミや洗剤などが多く流れます。そのなかでもキッチンの排水管トラブルの原因の多くは油です。
食べ物についた油は排水管の側面にへばりついて残ることが多く、さらに食べ物のカスや洗剤が流れるたびに汚れを吸着します。その汚れが蓄積すると排水管のつまりの原因となります。
3. 浴室の排水管つまりの原因
浴室の排水管のつまりの主な原因は次の通りです。
*髪の毛
*皮脂や垢
*せっけんカス
*シャンプーなどの詰め替えパックの切れ端などの異物
1番多いのは、髪の毛によるものです。排水口やパイプの中で絡まってつまりの原因となります。つまるときは急に水の流れが悪くなって、浴槽や洗い場に水がたまるのが特徴です。
4. 洗面台の排水管つまりの原因
洗面台の排水管のつまりの主な原因は次の通りです。
*髪の毛、ヒゲ
*せっけんカス
*アクセサリーや容器のふたなどの異物
洗面台の排水管トラブルの原因も浴室と同じで髪の毛やせっけんカスがほとんどです。
5. 洗濯機の排水管つまりの原因
洗濯機の排水管つまりの主な原因は次の通りです。
*糸くずや髪の毛
*洗剤カス、カビ
*排水ホースが折れている
洗濯機の排水管には洗濯物から出た糸くずが洗剤の溶け残りと混ざり、ヘドロ状の汚れがつまるケースがほとんどです。臭いの原因にもなるため、定期的な掃除をおすすめします。
洗濯機の排水ホースのつまりを放置すると、ホースが外れて水漏れが起こる可能性もあるため、注意が必要です。
排水管の水漏れ原因
排水管の水漏れの主な原因としては次の3つが考えられます。
*排水管のつまり
*排水管接続部のゆるみ
*経年劣化
排水管がつまると水の流れが悪くなり、許容オーバーで水漏れを起こします。また、地震などの振動や老朽化などの理由から接続部がゆるみ、そこから水がぽたぽた流れ出すケースもあります。
また、ナットやパッキンのゆるみを放置すれば、排水管が外れて部屋を水浸しにしたり、排水管の破損や工事につながったりする可能性もあるため注意が必要です。
水漏れは悪臭や異臭の元となり、排水の逆流や床上浸水、下の階への水漏れなどのトラブルを引き起こす可能性もあります。早めに対処することをおすすめします。
排水管トラブルのつまり・水漏れの修理方法
5箇所の排水管つまりと水漏れの修理方法を解説します。
1. トイレの排水管つまりの修理方法
ラバーカップ(スッポン)を使用するのが一般的です。便器の口を覆うようにラバーカップをつけて、棒を上下に数回「スッポン」とすれば、ほとんどの場合は解消できます。
ラバーカップで改善されない場合は、50~60度程度のお湯を流してみましょう。さらに重曹100mlをふり入れた上から50mlのクエン酸の粉を入れると、つまりが崩れやすくなるため、ラバーカップを使ってつまりを分解しやすくなります。
それで効果がなければ、市販のパイプクリーナーを試しましょう。ただし、市販のものは完全につまっている状態には効果が期待できません。
より強力な真空式パイプクリーナーを使う方法もありますが、本来流せない異物でつまった場合には、状態を悪化させるだけですので使用は避けてください。
細長いワイヤーの先にブラシがついたワイヤーブラシを使って排水管内の汚れを取り除く方法もありますが、排水管の劣化など問題がある可能性も考えられますので、業者に点検してもらうことをおすすめします。
2. キッチンの排水管つまりの修理方法
修理方法としては、まず排水管に40~60度くらいのお湯を直接、少しずつ流します。お湯で油汚れをふやかし、分解しやすくするためです。
それでも解決しない場合は、排水口にフタをしてからシンクに7割程度お湯をためてから一気に流しましょう。完全につまってしまう前なら、この方法で解決する可能性が高いでしょう。
ただし、異物がつまりの原因の場合は状況を悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です。
3. 浴室の排水管つまりの修理方法
ワイヤーブラシや使わなくなった歯ブラシなどで直接髪の毛やヘドロ状になった汚れを取り除くのが効果的です。ほとんどの場合は、これでつまりが解消されます。
パイプつまり用の市販の洗浄剤で溶かす方法もありますが、取り除ける髪の毛や汚れはとってから使用しましょう。
4. 洗面台の排水管つまりの修理方法
異物を落としてしまった場合は、すぐに取り出しましょう。
難しいときは、ナットを緩めて排水管を取り外すか、重曹、酢(クエン酸)、またはパイプクリーナーなどの洗浄剤で溶かす方法が効果的です。
ただし、あまり多くの洗浄剤を入れすぎてしまうと、せっけんカスの蓄積につながり、状況を悪化させてしまう可能性もあります。
洗浄剤などを排水管に入れる場合は、なるべく少量ずつゆっくりと、回数を重ね、少し熱めのぬるま湯で流すのが効果的です。
5. 洗濯機の排水管つまりの修理方法
1度つまってしまった場合は、排水ホースを取り外して排水口を掃除する必要があります。使わなくなった歯ブラシやワイヤーブラシがおすすめです。
排水口や洗濯機のつまりを予防するには、日常的に洗濯機にある排水フィルターの掃除が効果的です。
排水管の水漏れの修理方法
排水管の寿命は平均10~15年程度です。排水管のつまりが短期間で頻発している場合は劣化している可能性が高くなります。キッチンや洗面台など排水管が露出している場合は、ホームセンターやネット通販などで購入したものを自分で取り替えることも可能です。
その際は以前のものと同じ種類・形状・規格のものか、互換性のあるものを選びましょう。ナットやゴムパッキンなどの付属品も併せて交換する必要があります。
接続部のナットが緩んでいる場合は、ゆっくり締めて様子をみます。ナットを固く締めすぎないようにしましょう。排水管に余計な圧力をかける可能性があり、最悪の場合は排水管の破裂や破損の原因になります。
浴室やトイレのように簡単に排水管を交換できない場合は、無理に自力で修理しようとしても水漏れなどのトラブルを引き起こす可能性もあります。
上記を試しても排水管トラブルが解消されない場合は排水桝の状態を確認する
排水管トラブルの原因を特定して、修理方法をいろいろ試してみても解消されない場合は、排水桝の状態を確認してみましょう。
排水桝は排水の流れを確認する場所で、家の外に「おすい」と書かれたフタがあるはずです。
そのフタを開けて、汚れがたまっているかどうか確認します。汚れがたまっている場合は、排水管をいくらキレイにしても、下水には流れません。
また、排水桝に木の根っこが入り込んでつまりの原因となるケースもあります。
排水桝のつまりに対処するには、まず排水桝の場所を確認しましょう。もし、家の土地の外にあった場合は、水道局の管轄になります。水道局に連絡すれば無償で対処してもらえるため、確認をおすすめします。
原因を突き止めて適切な修理方法で解決しましょう
排水管トラブルの修理方法は原因によって異なります。適切な対処を行わなければ、トラブルの解消は困難になるでしょう。
まずはつまりや水漏れなどトラブルが起こっている部分とその原因をしっかりと突き止めることが重要です。
重曹や洗浄剤など化学的な対処が必要なケース、ワイヤーブラシなどで排水管内の汚れや異物を取り除くなどの対処法が一般的です。
また、排水管の平均的な寿命は10~15年程度ですから、その時期を過ぎている場合は経年劣化の可能性もあり、排水管と付属品の交換が必要となるケースもあります。